2008/07/01

リブログってみる 「31年前の加藤智大」

けっこうおもしろいブログがあったので転記。
「少年犯罪データベースドア」http://blog.livedoor.jp/kangaeru2001/ より。

「31年前の加藤智大」

秋葉原通り魔事件の加藤智大容疑者はトヨタの工員で、彼女ができないからああいうことをやったと自供してるということなんで、
1977年のこの事件が引き合いに出されるかと思っていたのですが、どうもあんまり取り上げられていないみたいなので記しておきます。

昭和52年(1977).5.30〔23歳がモテないのでむしゃくしゃして連続通り魔殺人〕

 大阪府寝屋川市の路上で、トヨタオート大阪のセールスマン(23)が、通行中の男性(48)の胸をいきなり包丁で刺し、倒れたところを馬乗りになって全身9ヶ所をめった刺しにして殺害した。6.1に大阪市の路上で、通行中の主婦(28)の胸をいきなり包丁で刺し、倒れたところを馬乗りになって4ヶ所をめった刺しにして殺害して逃走、すぐに逮捕された。

 京都産業大学外国語学部を卒業して4月から自動車セールスマンになったが一台も売れず、また同僚たちはガールフレンドと楽しんでいるのに自分はモテないので悩み、むしゃくしゃして女を刺せばスカッとするだろうと包丁を買ったもの。愛媛県宇和島市の農家の6人兄弟の末っ子。無口で真面目で、人付き合いが苦手だった。

 軽度の鬱だが正常な判断能力があるという精神鑑定だったので検察は起訴したが、大阪地裁は精神分裂病で心神喪失として無罪判決を出した。トヨタオート大阪は主婦の遺族に1420万円を支払うことで示談、犯人の家族からは190万円が支払われた。この年の大卒初任給95,000円。




主婦は2週間苦しんだ末に幼い子ども3人を残して死んだのですが、無念だったことでしょう。
セールス勤務中の犯行だったことからトヨタオート大阪は訴えられて見舞金を出すことになったみたいです。派遣社員ならどういうことになっていたやら。
男性のほうはどの新聞でも「住所不定の廃品回収業」となっていて、いわゆるホームレスなんでしょう。身寄りがなかったので賠償金などは払われなかったようです。
入社2ヶ月で一台も売れないというのは珍しいことではないらしいですが、しゃべるのが苦手で大学でも友達がいなかった彼には1日50軒回ることがノルマのこの仕事はそうとう苦痛だったみたいです。
まだ見習い社員の身分でクビの恐怖もあったかもしれませんが、でも仕事のことよりも、とにかく彼女が欲しいということを取調べでは訴えていたみたいです。
いまでは54歳ですが、どこでどうしているのでしょうか。
調べてみて意外だったのは、この事件をあつかっている週刊誌がまったくなく、唯一『週刊女性』だけが、主婦が殺されたという観点から記事にしています。
それによりますと、就職が決まって引っ越したときに四国から両親とお姉さんがやってきて、この子は朝寝坊だから起こしてやってほしいとか下宿の主人に頼んでいて過保護だったとかいうことです。
下宿の主人は、おとなしくて真面目でほんとにいい人に入ってもらったと喜んでいたということです。

この事件の2週間前には、34歳の大手商社社員が小学生をゴルフクラブで殴り殺すという通り魔事件も起きてますが、こっちも心神喪失として不起訴処分です。
独身で内向的性格で、東京支社から京都支社に飛ばされたことからおかしくなったみたいです。
当時の新聞には、戦後育ちのこの世代は利己的で、発散の方法を知らずに感情を爆発させるとか精神科医がコメントを寄せてたりします。

この年は、横浜で中3が女性の頭を鉄棒で殴って2ヶ月の重傷を負わせるなど11人の女性を襲ったり、
新宿で27歳が通行人を次々刺して看護婦を殺したり、43歳が誰でもいいから刺そうと家から包丁を持ち出して、
お婆さんに抱かれていた赤ちゃんの顔を切ったり、女子高生風の女が幼女7人の顔をカミソリで切って回ったり、
29歳無職が職探しのイライラから小学生を橋の上から投げ落としたり、就職の決まらない大学生が女性の髪を切って回ったり、
17歳無職がマンションに押しかけて住民を次々刺したりと、通り魔事件が続発しています。
なにより、あの青酸コーラ無差別殺人事件が起こった年で、路上の電話ボックスに置かれたコーラを飲んだ2人が死んでいます。
ほかにも、東大生が三島由紀夫の『金閣寺』のマネをしてアパート自室を放火して消そうとした隣室の男性を果物ナイフで刺殺したり、、
中3が父親を殺しながら電話で女友達に実況中継したり、2歳の女の子がカミソリで赤ちゃんの顔を切り刻んで殺したり、
29歳のOLが超能力で自分をいじめていると近所のお婆さんを包丁で刺し殺したり、クラクション殺人とか長崎バスジャックとか、
悪夢のような凶悪事件が立て続けに起きています。
もっとも、この年だけが特別なのではなく、この辺りは毎年こんな調子なんですが。珍しくもなかったので、週刊誌などでも青酸コーラ事件以外はほとんど記事にしておりません。

18歳のOLが顔も知らないペンフレンドに呼び出されてホテルで殺されるという事件もこの年に起きています。
ネットの出逢い系なんかがなかった時代は文通による事件が続発してまして、いまのネット事件よりは遥かに多かったと思いますが、郵便を規制しようという話がまったくなかったのはフシギです。
また、この年は爆破予告が大流行で、脅迫電話が10月までで329件、爆弾以外の殺人予告も含めるともっとあったのですが、ほとんど捕まっていません。
ネットの予告になってからすぐに捕まえることができるようになり、便利な時代になりました。
こういう異常な人間がめっきりと減って、いまはほんとに安全な世の中になったものです。

少年犯罪データベース 通り魔事件や、昭和52年(1977年)の少年犯罪も参照していただければ。

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